
| 暑い夏です。すぐ近くの札幌・大通公園では、ビヤガーデンが大盛況です。ビールに欠かせないのが枝豆。今回はその枝豆、つまりダイズの話です。それにしても、ビール園を横目に、この原稿を書く筆者の姿は何やら哀しげです。 |
| ▲畑での症状;出芽していないものが多い。 |
| ▲発病苗:ほぼ健全;7 ,生育不良;7 ,枯死個体;5 ,未発芽・枯死;11 合計;30 個体 |
《アズキやエンドウマメも狙われる》
ピシウム菌に襲われるのはダイズだけではありません。アズキやエンドウマメも狙われるのです。症状もよく似ていますね。病原菌が微妙に違うことにご注意下さい。ピシウム菌のグループにもいくつかの種類があるのです。
| 作物名 | 病名 | 病原菌 |
| ダイズ | 苗立枯病 | P.ultimum 1), P.spinosum 2)など |
| エンドウマメ | 苗立枯病 | P.ultimum , P.irregulare 3)など |
| アズキ | ピシウム苗立枯病 | P.spinosum, P.myriotyrum 4)など |

| ▲エンドウ豆病徴 | ▲アズキ病徴 |
《病原菌のこと》
ピシウム菌は真っ白な綿毛状のカビで本当に可愛いらしいのです。(でも可愛いかどうかは主観の問題でしょう)。この菌には雄(オス)と雌(メス)があり、その子供が卵胞子(ラン・ホウシ)です。卵胞子の入っている袋が蔵卵器です。この表面にスベスベだったり棘(トゲ)があったりします。卵胞子はピシウム菌が土中で生き抜くための、必須の姿です。

| ▲P.ultimum; 蔵卵器の表面に棘がある。 | ▲P.ultimum:蔵卵器の表面が平滑。 |
| ▲ピシウム菌;左側の綿毛状のカビ。 右側はコムギの病気をおこす病原菌です。 |
《防除法》
苗立枯病を防ぐには、種子消毒というとっておきの方法があります。種子に薬剤を塗ってタネを播くと、出芽がたいへん良くなります。種子表面に付いている薬剤が、病原菌の侵入を阻止しているのです。種子消毒は、卵の孵化を守る強い味方なのでした。クルーザーMAXX、キヒゲンR-2フロアブルを使うと高い防除効果があります。
| ▲種子処理による防除効果:上からクルーザーMAXX (メタラキシルM1.7%、フルジオキソニル1.12 %) 原液 8mL/kg・種子塗抹、キヒゲンR-2フロアブル (チウラム40 %)原液 20mL/kg・種子塗抹、無処理 |
▲種子処理剤による防除効果: 病原菌を土壌混和。 上よりクルーザーMAXX、 キヒゲンR-2フロアブル、無処理 |

植物病理のスペシャリスト。40年にわたって、タマネギやバレイショ、豆類など、北海道の主要農産物における病害虫の生態解明に力を尽くし、防除に役立てている。何よりフィールドワークを大切に、夏から秋は精力的に畑を回る。調査研究の原動力は“飽くなき探求心”。
[profile]
農学博士・北海道植物防疫協会常務理事。北海道大学大学院卒業後、道内各地の農業試験場で研究を続け、中央農業試験場病理科長、同病虫部長、北見農業試験場長を歴任。2000~2013年度まで北海道植物防疫協会会長。
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